Akai Yukiko 赤井夕希子

赤井 夕希子

「物質レス」
「物質レス」備前土窯

赤井夕希子は
1986年 岡山市東区瀬戸町に生れます。
2008年 備前陶芸家である平川忠さんに師事しその後、数多くの古窯の発掘に携わりながら 作陶を続けています。

この、彼女の育った環境が現代において大変稀なものであったことが、赤井夕希子の作品に大きく影響しているのだと私は思います。

赤井夕希子
その実家は岡山市東区瀬戸町山の池、山の頂上近くにある、いわゆる限界集落です。森の中で遊んでいると野生の猿に出くわすといいます。幼少期を土と石と木に囲まれて育った彼女は陶芸と出会い平川忠という師匠を得て古窯研究と作陶の日々を過ごしてきたのです。
哲学者レビィ・ストロースは、未開文明の中に近代の合理主義にはない「神と自然と一体化した生き方」を見て「構造主義」と呼び「未来的」であるとしました。赤井さんは日本古来のものでもある、この「野生の思考」的なものを宿しながら考古学の見識と作陶能力を併せ持つ稀な存在なのです。

この度の作品のひとつは、自然界にある文様を写しとって形を作り積み上げたもので、制作過程で感じる心地良さが動機となっているそうです。
これは、イヌイットのイヌクシュクや、古代吉備の巨大な焼物である特殊器台にも通ずる、つまり、神と人間が一体化する為の通信器と言って良いかもしれません。また、枯れた木や葉っぱそのものが 器となったような作品や折り紙が動き出したかのような作品など、どれも有機的で生命感に溢れています。

神に祈る「生命賛歌」こそが芸術の原点だとするなら、赤井夕希子さんはその申し子であると言ってよいでしょう。