井内 誠一 Iuchi Seiichi


哲学者の安息日 The Philosopher’s Sabbath 2021

井内 誠一

「哲学者の安息日」
The Philosopher’s Sabbath

 この作品は「問いかけ」と「答え」のないオブジェです。昼の木漏れ日と夜の月明かりが演出する奇跡のような偶然を期待する作品としています。
曹源寺の庭で偶然目にした、整然と並んで歩く修行僧の人たちの姿が美しい哲学者の姿に映り、すぐに作品の構成となりました。

 仏教哲学の思考は私には理解困難ですが、美しいものを捉える洞察力は歳をとったものに感じる武器となり創作につながると思っています。

 鉄にこだわって制作している私は時とともに錆に魅力を感じ、錆の進行の途中で生ずるわずかな音色ー私は手遊びのわずかな音色を探しているーをテーマとしています。

 今回はあえて漆により錆の進行を封鎖しましたが漆の1番の弱点は太陽光です。最初に記した木漏れ日、月明かりの自然光により偶然にも作品から、哲学者の美しい姿とともに蓋をした漆の下からわずかな音色が聞こえてくるかもしれないと奇跡を望んでいます。

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